グラスハーモニカ、フルート、オーボエ、ヴィオラ、チェロのためのアダージョ ハ短調とロンド ハ長調 K.617

モーツァルトの最晩年、1791年5月に作曲したもので、「グラスハーモニカ」とありますが、どうやら、あのベンジャミン=フランクリンが発明した「アルモニカ」のためのもののようです。

グラスハーモニカは、ワイングラスを並べてその中に量の異なる水を入れ、濡らした指でグラスの縁をこすって音を出すものです。やってみれば判りますが、幻想的な音がします。

実際にグラスを並べて水を満たした場合、縁を円周に沿ってこするとなると発声にもムラが出そうですし、同時発声はせいぜい2音に限定されてしまいます。また蒸発などで水が減ってしまうこともありますし、演奏の途中でグラスが倒れてしまう危険性もあります。

そこでフランクリンが発明したのがアルモニカという楽器で、グラスの代わりにガラスの円盤にし、これを同軸で高さの順に並べ、回転させて濡らした指で触れて音が出るようにしました。回転は足踏みペダルでしたが、現代の楽器はモーター式だそうです。

当時のヴィーンにキルヒゲスナーという盲目のアルモニカ奏者がいて、モーツァルトは1791年8月の彼女の演奏会のためにこの曲と独奏用の幻想曲k.356(第6版で617a)を作曲しました。

この曲のデータは今年4月には入力し終わっていたのですが、円盤の位置に合わせて音像のステレオ定位を確実にさせてから発表しようと思っていました。でもヘッドフォンで聞いてみたら、そこまでしなくても違和感がないことを確認しましたので公開することにします。いつか音像定位が実現したらこの段落は削除または修正することにします。

この曲のアルモニカの部分はチェレスタで代用することも多いとのことですので、チェレスタに準じて記譜よりもオクターブ高くしてあります。実際の楽器の知識はありませんので間違っている可能性もあります。もし耳障りと感じましたらmusファイルの冒頭で#A1〜#J1までのo6をo5に、o5をo4に変更してください。

    MIDファイル
    MUSファイル

2008/09/01 入口に戻る
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