2007年に没後110年を迎えたヨハネス=ブラームスは、その作曲家人生において常にベートーヴェンを意識していました。
ベートーヴェンの9曲の偉大な交響曲遺産があるため、最初の交響曲の完成に20年を費やしたことは有名ですが、室内楽の分野でも、その典型的なジャンルである弦楽四重奏曲は、ベートーヴェンの16曲を前にしてしまうとなかなか完成できず、ようやく40歳が過ぎてから最初の曲を完成させました。
それに引き換え、ヴァイオリン属の5つ以上の楽器を使った室内楽といえば、シュポアの五重奏曲や六重奏曲、複四重奏曲を別にすると、ブラームス以前の名だたるものといえば、モーツァルトの6曲の弦楽五重奏曲、シューベルトの弦楽五重奏曲、メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲ぐらいのものでした。ベートーヴェンにもオリジナルの弦楽五重奏が1曲ありますが、弦楽四重奏曲ほど重要な作品とはいえません。
作曲に慎重にならざるを得ない四重奏曲に比べれば、他の作曲家が手がけずにきたといっていいものなら気軽に作れると思ったのかどうかは知りませんが、彼が最初に手がけたヴァイオリン属による室内楽は、ヴァイオリン、ヴィオラ,チェロ各2台の弦楽六重奏曲でした。
ブラームスは結局、ヴァイオリン属の室内楽は、六重奏曲と五重奏曲を2曲ずつ、四重奏曲を3曲残しました。
この第1番は彼の25歳のころ着手した作品で、とりわけ第2楽章の変奏曲はフランスのルイ=マル監督の映画「恋人たち」で使われて有名になりました。
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全曲 | 全曲 |
第1楽章アレグロ・マ・ノン・トロッポ | 第1楽章アレグロ・マ・ノン・トロッポ |
第2楽章アンダンテ・マ・モデラート | 第2楽章アンダンテ・マ・モデラート |
第3楽章スケルツォ:アレグロ・モルト | 第3楽章スケルツォ:アレグロ・モルト |
第4楽章ロンド:ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーゾ | 第4楽章ロンド:ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーゾ |